焼肉店や精肉店、インターネット通販サイトでも「A5ランク」という表示を一度は見たことがあるはずです。
これは、牛肉の格付けを示す表記です。
枝肉(牛や豚から内蔵などを取り除いた状態の肉)の格付けが始まったのが昭和37年です。
食肉の流通を合理化するための一環として、食肉中央卸市場で始まり、その後地方卸売市場や食肉センターでも行われるようになりました。
特に牛肉の格付けは細かく、取引の目安として利用されています。
歩留等級・肉質等級とは?枝肉(肉質)の格付は2つの評価の組み合わせ
歩留等級 A〜C
×
肉質等級 5〜1
= 等級
現在、牛の枝肉の格付けは、「歩留等級(ぶどまりとうきゅう)」と「肉質等級」の分離評価方式で行われています。
「歩留等級」とは
枝肉から骨や筋を取り除いて、どれくらいたくさんの肉が取れるかを示します。
歩留等級は、A〜Cの3区分
区分の仕方
肉の歩留基準を算出し、標準値より上ならA、ほぼ同じぐらいならB、下ならCとなります。
「肉質等級」とは
4項目で判定します。
1.脂肪交雑(赤身の肉にどれだけサシが入っているか、いわゆる霜降り度合い。BMSとも)
12〜1の12段階で評価
12段階は、5〜1の4等級に区別されています。
2.肉の色沢(色と光沢のよさ)
3.肉の締まり及びきめ(肉の締まりがいいか、きめが細かいか)
4.脂肪の色沢と質(脂肪の色と光沢、質)
4項目についてよいほうから5〜1に区別し、4つの項目の中で最も低い判定に合わせて、その肉の肉質等級が格付けされます。
お肉のランク「A5」が意味するのは、歩留等級+肉質等級
肉質等級 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
歩留等級 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | A | A5 | A4 | A3 | A2 | A1 | B | B5 | B4 | B3 | B2 | B1 | C | C5 | C4 | C3 | C2 | C1 |
最終的な等級表示は、歩留等級と肉質等級を連携で表記します。
等級は、A5〜C1までの15段階です。
例えば、
歩留等級がAで、肉質等級の脂肪交雑が4
肉の色沢が5つの場合
この肉は、「A4」と表記されます。
つまり「A5」とは歩留等級でAを取り、肉質等級の4項目全てで5を取った牛肉ということになります。
ただ、A5から1点足りないだけの、限りなくA5に近いA4など、同じ等級の中でも幅があるのは確かです。
さらに、肉質等級の1項目である霜降り度合いを判定する、脂肪交雑(BMS)の12段階を組み合わせるなどして、現在の流通価格がキメられています。
例えば、
「A5のBMSがNo.12」という場合は、A5の中でも霜降りが一番すごいと、いう事です。
とはいえ、この数字が低いからといってお肉は美味しくないのか、と言われると違います。
肉を選ぶ一つの基準、と捉えましょう。
現状の格付けは、肉の一面だけを評価
現在の格付けは、肉の味を表すというより、いかに歩留まりがよくてサシ(霜降り)が入っていて柔らかいか、が基準です。
A5でBMSがNo.12だから美味しい!、ではなく、A5だから柔らかくとろける食感である、
これだけを保証する表記です。
格付けを盲信せず、結局、自分の舌で美味しい、美味しくないを判断するしかありません。